スマホを乗り換えるとき、申込画面で「SIMカード」と「eSIM」のどちらかを選ぶことがあります。名前は知っていても、通信速度や使い方にどんな違いがあるのか、自分にはどちらが合うのか迷いますよね。
eSIMは、スマホ本体に組み込まれたデジタルSIMです。カードの配送や差し替えが必要ない一方で、対応端末の確認や開通時の設定が欠かせません。
先に選び方をまとめると
- eSIM向き:配送を待ちたくない、オンライン設定に抵抗がない、2回線を使いたい
- SIMカード向き:設定をできるだけ簡単にしたい、端末間でカードを差し替えたい
- 迷った場合:通信速度ではなく、端末の対応状況と設定のしやすさで選ぶ
この記事では、eSIMとSIMカードの違い、メリット・デメリット、申し込み前に確認することを初心者向けに解説します。MNPで今の電話番号を引き継ぐ場合の流れも紹介するので、申し込み前の判断材料としてご活用ください。
※本記事は2026年8月25日時点の公式情報を基に作成しています。対応機種、設定方法、受付条件は変更されることがあるため、申し込み前に端末メーカーと利用する携帯会社の公式サイトをご確認ください。
eSIMとは端末に組み込まれたデジタルSIM
eSIMは「Embedded SIM」の略で、スマホやタブレットに組み込まれたSIMを指します。物理的なカードを挿す代わりに、携帯会社から提供された契約情報を端末へダウンロードして回線を有効にします。
SIMには、電話番号や契約している通信サービスを回線と結び付ける役割があります。この役割はeSIMでもSIMカードでも基本的に同じです。違うのは、契約情報を端末へ入れる方法です。
eSIMの設定方法は携帯会社や端末によって異なります。通信事業者から自動的に割り当てられる場合、アプリを使う場合、QRコードを読み取る場合、以前の端末から転送する場合などがあります。
SIMカードは端末へ挿して使う物理SIM
SIMカードは、スマホのSIMトレイへ挿して使う小さなICカードです。現在のスマホではnanoSIMが広く使われています。
対応する端末であれば、カードを新しいスマホへ挿し替えて利用できます。オンラインで契約した場合は、SIMカードが届いてから端末へ挿し、必要に応じて回線切り替えやAPN設定を行います。
SIMフリーやデュアルSIMとは意味が違う
「eSIM」と「SIMフリー」は別の意味です。eSIMはSIMの形状・設定方式、SIMフリーは特定の携帯会社による利用制限がない端末を表します。eSIM対応端末でも、購入時期や購入元によってはSIMロックの確認が必要です。
デュアルSIMは、1台のスマホで2つの回線を使う機能です。「SIMカードとeSIM」「eSIMとeSIM」などの組み合わせがありますが、同時利用できる組み合わせは端末と携帯会社によって異なります。
日本で販売される一部の新しいiPhoneはeSIMのみ
Appleは、日本を含む対象地域で購入したiPhone 17シリーズをeSIMのみ対応と案内しています。これらのモデルには、従来のnanoSIMカードを挿して使うことができません。
一方、同じシリーズでも購入した国や地域によってSIMの仕様が異なる場合があります。中古端末や海外版端末を購入するときは、機種名だけで判断せず、モデルと販売地域まで確認しましょう。
eSIMとSIMカードの違いを比較

eSIMとSIMカードは、どちらも携帯回線を使うためのSIMです。通信の役割は同じですが、受け取り方や設定、機種変更時の扱いに違いがあります。
| 比較項目 | eSIM | SIMカード |
|---|---|---|
| 形状 | 端末に組み込まれている | 端末へ挿すカード型 |
| 受け取り | オンラインで発行・設定 | 配送または店頭で受け取る |
| 利用開始 | 契約情報をダウンロードして有効化 | カードを挿し、必要な設定を行う |
| 対応端末 | 端末と携帯会社の対応確認が必要 | 比較的多いが、カードサイズなどを確認 |
| 機種変更 | 転送または再発行が必要な場合がある | カードを挿し替えられる場合がある |
| 紛失・破損 | カード自体を紛失しない | 取り扱い時の紛失・破損に注意 |
| 設定環境 | Wi-Fiや別の画面が必要な場合がある | カードの装着が中心 |
| 複数回線 | 対応端末では追加・切り替えがしやすい | SIMスロット数に左右される |
通信速度はSIMの形だけでは決まりません。同じ携帯会社・プラン・端末・利用場所なら、eSIMに変えただけで通信速度が速くなるとは限りません。速度やつながりやすさは、回線、対応周波数、混雑状況、端末性能などの影響を受けます。
eSIMを選ぶ4つのメリット
SIMカードの配送を待たずに利用開始しやすい
eSIMは物理カードを受け取る必要がありません。オンラインで契約し、審査と発行が完了すれば、案内に沿って設定を始められます。急いで回線を用意したいときは、配送がないことが利点になります。
ただし、eSIMなら必ず申し込んだ当日に使えるわけではありません。本人確認や審査、受付時間、メンテナンスによって、発行や回線切り替えが翌日以降になることがあります。
SIMカードを抜き差しする必要がない
小さなSIMカードを取り出す必要がないため、交換時の紛失や向きの間違いを防げます。SIMピンを用意できない場面でも、端末と通信環境が揃っていれば手続きを進められます。
スマホを紛失した場合も、第三者がカードを抜いて別の端末へ挿すことはできません。ただし、端末自体の紛失時は回線停止などの手続きが必要です。
1台で複数回線を使いやすい
対応端末では、仕事用と個人用、通話用とデータ通信用など、複数回線を1台へ設定できます。物理SIMを利用しながら、2回線目としてeSIMを追加する使い方もあります。
複数のeSIMを保存できても、同時に有効化できる回線数は端末ごとに異なります。デュアルSIMを使う前に、端末メーカーと携帯会社の対応条件を確認してください。
海外用回線などを追加しやすい
海外旅行用のeSIMをオンラインで購入し、端末へ追加できるサービスがあります。日本で使っている回線を残したまま、現地用のデータ回線を追加できることもeSIMの利点です。
利用時は、対応国、データ容量、利用期間、音声通話の有無を確認します。海外用eSIMはデータ通信専用の場合もあり、日本の電話番号を引き継ぐMNPとは別のサービスです。
eSIMを選ぶ前に知っておきたい4つのデメリット
端末と携帯会社の両方が対応している必要がある
スマホにeSIM機能があっても、利用したい携帯会社がその機種での動作を確認していなければ、通話や通信の利用を保証してもらえない場合があります。
同じ機種名でも購入元やモデル番号によって仕様が異なることがあります。携帯会社の動作確認端末一覧では、機種名だけでなく、購入元や型番も照合しましょう。
初期設定にWi-Fiや別の画面が必要な場合がある
eSIMの契約情報をダウンロードするには、Wi-Fiなどのネットワーク接続が必要になる場合があります。QRコード方式では、設定するスマホとは別のパソコンやタブレットにコードを表示すると進めやすくなります。
携帯会社のアプリや端末間転送に対応していれば、QRコードを使わずに設定できることもあります。申し込み完了メールに書かれた方法を優先してください。
機種変更時に転送や再発行が必要になる
SIMカードは対応端末へ挿し替えられることがありますが、eSIMは新しい端末へ契約情報を移す手続きが必要です。端末間転送を使える場合もあれば、携帯会社のサイトで再発行する場合もあります。
受付時間、本人確認、手数料は携帯会社や手続き方法によって異なります。故障で古い端末を操作できない場合は、オンラインだけで完結しない可能性もあります。
設定に失敗してもeSIMを自己判断で削除しない
通信できないときにeSIMを削除しても、回線の契約自体は解約されません。しかし、同じ設定情報やQRコードを再利用できず、eSIMの再発行が必要になることがあります。
注意:「圏外」「未アクティベート」と表示されても、携帯会社から削除を案内されるまではeSIMを消さないでください。まず回線切り替え状況、利用回線、機内モード、端末の再起動を確認します。
eSIMとSIMカードはどちらを選ぶべき?
どちらを選んでも、対応する回線と端末で正しく設定できれば通話や通信を利用できます。速さだけで決めず、申し込みから機種変更まで自分が扱いやすい方を選びましょう。
eSIMが向いている人
- eSIM対応端末を使っている
- SIMカードの配送を待たずに設定したい
- オンラインの本人確認や端末設定に抵抗がない
- 安定したWi-Fi環境を用意できる
- 1台で2回線を使いたい
- 海外用回線などを追加する予定がある
SIMカードが向いている人
- 利用中の端末がeSIMに対応していない
- 初期設定をできるだけ単純にしたい
- 複数の対応端末へSIMを差し替えることがある
- 設定に使えるWi-Fiを用意しにくい
- 故障時にカードを別端末へ移して使いたい
- 携帯会社のeSIMサポート対象外の端末を使っている
迷ったときは、携帯会社の動作確認端末一覧でeSIM対応が明記されているかを最初に確認してください。対応が確認でき、オンライン設定に抵抗がなければeSIM、設定の分かりやすさや挿し替えやすさを優先するならSIMカードが選びやすいでしょう。
eSIMを申し込む前に確認する4項目

eSIMの申込後に「設定できない」とならないよう、次の4点を申し込み前に揃えておきましょう。
1. スマホ本体がeSIMに対応しているか
端末メーカーの仕様ページでeSIM対応を確認します。iPhoneは「設定」からモデル名やモデル番号を確認でき、Androidも「デバイス情報」「端末情報」などから型番を確認できます。
中古端末や海外版端末では、同じ製品名でもSIM仕様が違う場合があります。購入元が分からなければ、モデル番号まで調べましょう。
2. 乗り換え先がその端末でeSIMを動作確認しているか
携帯会社の「動作確認端末」「対応端末」ページで、利用する機種と購入元を照合します。eSIM、音声通話、SMS、データ通信、テザリングなど、必要な項目が利用可能か確認してください。
メーカーがeSIM対応と案内していても、すべての携帯会社で動作保証されるとは限りません。
3. OS・SIMロック・必要情報を確認する
端末のOSを更新し、SIMロックの有無を確認します。申し込みや再発行では、端末に内蔵されたeSIMの識別番号「EID」を求められることがあります。
EIDの確認場所は端末によって異なります。iPhoneでは「設定」→「一般」→「情報」、Androidでは「端末情報」や電話アプリの確認コードなどから表示できる場合があります。
4. Wi-Fiと設定情報を受け取れる環境を用意する
設定するスマホを安定したWi-Fiへ接続します。申込完了メール、携帯会社のアプリ、ログインIDとパスワードも確認しておきましょう。
QRコード方式では、パソコンやタブレット、以前使っていたスマホなど、コードを表示する別の画面があるとスムーズです。別端末がなくても設定できる方法が用意されている場合があるため、携帯会社の案内を確認してください。
MNPでeSIMを利用する流れ
MNPで現在の電話番号を引き継ぐ流れは、SIMカードを選ぶ場合と大きくは変わりません。違いは、SIMカードを受け取って挿す代わりに、eSIMを端末へ設定する点です。
- 端末と乗り換え先のeSIM対応状況を確認する
- 乗り換え先で「他社から乗り換え(MNP)」とeSIMを選ぶ
- 本人確認と審査の完了を待つ
- 案内された受付時間内に回線を切り替える
- eSIMをダウンロードして利用回線として有効にする
- 通話・SMS・モバイル通信を確認する
回線切り替えとeSIM設定の順番は携帯会社によって異なります。自己流で進めず、申込完了メールや公式の開通手順に沿って操作してください。
MNP予約番号の取得を含む乗り換え全体の流れは、MNPのやり方を初心者向けに7ステップで解説した記事で確認できます。
今のスマホをそのまま使って回線だけ乗り換える場合は、SIMのみ乗り換える手順と注意点もあわせてご覧ください。
eSIMを設定しても通信できないときは
eSIMを設定したのに圏外のままなら、プロファイルを削除する前に次の順番で確認します。
- 乗り換え先の申込履歴で回線切り替えが完了しているか確認する
- Wi-Fiへ接続し、eSIMのダウンロードが完了しているか確認する
- モバイル通信や音声通話に使う回線として新しいeSIMを選ぶ
- 機内モードを一度オン・オフし、端末を再起動する
- 携帯会社の案内に従い、APNやキャリア設定を確認する
回線切り替え前で止まっている場合と、開通後の端末設定に問題がある場合では対処法が異なります。詳しい切り分けは、MNP開通手続きができない原因と対処法をご確認ください。
eSIMに関するよくある質問
eSIMとSIMカードで通信速度は変わりますか?
eSIMかSIMカードかという違いだけで、通信速度が決まるわけではありません。通信速度は、携帯会社、料金プラン、利用場所、時間帯、対応周波数、端末性能などの影響を受けます。
現在の電話番号をeSIMへ引き継げますか?
乗り換え先がeSIMとMNPに対応していれば、現在の電話番号を引き継いでeSIMを契約できます。申込画面では「新規契約」ではなく「他社から乗り換え(MNP)」を選んでください。
SIMカードからeSIMへ変更できますか?
携帯会社と端末が対応していれば、同じ回線をSIMカードからeSIMへ変更できる場合があります。端末の設定から転送・変換できる場合と、携帯会社で再発行手続きが必要な場合があります。
eSIMを削除してしまったらどうなりますか?
eSIMを削除しても、通常は回線契約そのものが自動解約されるわけではありません。ただし、端末で通話や通信ができなくなり、eSIMの再発行が必要になる可能性があります。携帯会社へ連絡し、再設定方法を確認してください。
eSIMとSIMカードを同時に使えますか?
デュアルSIMに対応する端末なら、eSIMとSIMカードを同時に待ち受けできる場合があります。ただし、対応する組み合わせ、5G利用、通話やデータ通信の設定は端末と携帯会社によって異なります。
まとめ|対応状況と設定のしやすさで選ぼう
eSIMは、スマホ本体に組み込まれたデジタルSIMです。SIMカードの配送や抜き差しが不要で、オンラインで利用を開始しやすいことがメリットです。
一方、端末と携帯会社の両方が対応している必要があり、設定時にはWi-Fiや契約情報を用意します。機種変更時に転送・再発行が必要になる場合もあるため、「新しい方式だから」という理由だけで選ぶ必要はありません。
- 配送を待たず、オンラインで設定したいならeSIM
- 設定の分かりやすさや挿し替えやすさを重視するならSIMカード
- 迷ったら、動作確認端末一覧と設定環境を確認してから選ぶ
申し込み後は、携帯会社が案内する順番で回線切り替えとSIM設定を進めます。通信できない場合もeSIMをすぐ削除せず、現在の処理状況から一つずつ確認しましょう。

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